脚のむくみのヒト試験とは?分かりやすく徹底解説

「夕方になると靴がきつい」「脚がパンパンで重だるい」。

働く女性を中心に、こうした「一時的な脚のむくみ」に対する悩みは尽きることがありません。市場ニーズは極めて高く、多くの企業がこの領域での機能性表示食品の開発にしのぎを削っています。

しかし、開発担当者の皆様は、いざヒト試験(臨床試験)を計画し始めたとき、その「扱いにくさ」に直面するのではないでしょうか?

むくみは、その日の体調、気温、食事、ホルモンバランスによって大きく変動する生理現象です。そのため、単に摂取して測るだけでは、ノイズだらけのデータになりかねません。

本コラムでは、ヒト試験 脚のむくみ で検索される開発・マーケティング担当者の皆様に向けて、どのような試験を実施すればよいか解説します。

20年以上の実績と経験があるアポプラスステーション株式会社
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ヒト試験の価格や種類については下記記事で詳しく解説しています。
ヒト試験とは?種類や価格・臨床試験との違いについて解説

 

1. 「なんとなくのむくみ」は評価できない

まず最初にクリアにすべきは、「何を評価するのか」という定義です。

機能性表示食品で扱えるのは、あくまで「健常者の一時的かつ生理的なむくみ」に限られます。

心不全や腎疾患などに由来する「病的浮腫」は、当然ながら除外対象です。しかし、実務上で特に難しいのが、この境界線にいる試験参加者のスクリーニングです。

試験参加者の選定が最初のハードル

かつては「被験者」と呼ばれましたが、現在は倫理的観点から「試験参加者」と呼ぶのが一般的です。

この参加者選びにおいて、単に「一時的なむくみが気になる人」を集めるだけでは不十分です。

  • BMIの制限: 極端な痩身や肥満は、体水分分布が標準的でないため除外が必要です。
  • 除外基準の徹底: 利尿剤の使用歴はもちろん、下肢静脈瘤の兆候がないかなど、医師による事前の理学的チェックが欠かせません。
  • 検査日の調整:生理周期に伴うホルモン変動は体内水分量に影響する可能性があるため、事前に周期を把握し、適切なタイミングで検査日を設定する必要があります。

ここで妥協すると、後でデータが暴れる原因になります。「適切な人を、厳格な基準で選ぶ」。これが成功の第一歩です。

2. なぜ「クロスオーバー試験」が推奨されるのか?

試験デザインを決める際、コストを抑えられる「並行群間比較(パラレル)」を選びたくなるのが人情です。しかし、むくみ試験において、アポプラスステーションでは、強く「クロスオーバー比較試験」を推奨します。

個体差という最大の敵

むくみの程度は、人によって全く異なります。

AさんとBさんを比べて「Aさんの方がむくみが減った」と言っても、それが成分の効果なのか、もともとの体質なのかを見極めるには、膨大な人数(N数)が必要になってしまいます。

一方、クロスオーバー法であれば、「自分自身との比較」が可能です。

時期をずらして、同じ人が「試験食品」と「プラセボ」の両方を試す。これなら、その人の体質という変数を相殺できることになります。『勿論、N数は多いことにこしたことはありませんが、少ない人数でも、統計的に信頼できる有意差を見出しやすくなります。』

ただし、注意点もあります。前の期間の影響を消すための「ウォッシュアウト期間(休薬期間)」の設定です。試験食品の効果の持続性や、時期などを考慮し、十分なウォッシュアウト期間を設定する必要があります。

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3. 「一時的なむくみ」を数値化する技術:周囲長測定 vs BIA法(ECW比)

「脚がスッキリした」という主観だけでは、機能性表示食品の受理は困難です。客観的なエビデンスとして主流となっている、2つの主要な測定手法を解説します。

① 実績最多のスタンダード「周囲長測定」

足首やふくらはぎの最も太い部分をメジャーで計測する、最も一般的で受理実績の多い手法です。アポプラスステーションでは、より正確に測るためのノウハウがあります。

測定の仕組み: 指定された部位(足首、ふくらはぎ、膝下など)の外周をミリ単位で計測します。

メリット: 届出事例(SR)が非常に多く、過去の成功モデルを参考にしやすい。また、消費者にとっても数値的な変化の提示は直感的に理解しやすいのが強みです。

デメリット: 測る位置が数ミリずれるだけで数値が変わるため、熟練した測定者による厳密な統一ルール(マニュアル化)が不可欠です。

 

② 科学的根拠を強める「BIA法(ECW比)」

体組成計の原理を応用し、体に微弱な電流を流して「水分の分布」を算出するハイテクな手法です。

測定の仕組み: 細胞外水分(ECW)と体水分全体の比率を算出します。水分量によるむくみがひどいと、この「ECW比」が高くなるため、その変化を数値化します。

メリット: 非接触に近い状態で短時間に測定でき、測定者による誤差が出にくい。また、「細胞レベルの水分バランス」という表現が、専門性の高い科学的根拠として高い説得力を持ちます。

デメリット: 機器の性能(周波数帯の多さなど)によって精度が左右されるため、信頼性の高い医療用・研究用機器を使用しているCROを選ぶ必要があります。

 

4. データ暴れを防ぐ「環境」と「生活」の管理

 

前日の「飲み会」や「過度の長距離移動」はNG

参加者の生活管理も徹底が必要です。

試験前日のアルコール摂取や、塩分の多い食事は厳禁。当日の朝食・昼食も、全員同じ「規定食」を提供し、飲水量も管理下で制限します。

また、長距離移動は、身体への負担や体液バランスの変動を引き起こし、むくみに影響することが知られています。こうした変動は評価指標にノイズを生じさせる可能性があるため、試験前日の長距離移動(航空機・新幹線・長距離バスなど)は控えてもらいます。また、身体活動量を一定に保つため、歩数計などを用いて移動量を記録・管理します。

 

検査時間帯や検査間の過ごし方の統一

脚のむくみは、朝・昼・夕方といった一日の時間帯によっても変動します。
起床直後はむくみが少なく、日中の活動や過ごし方の影響によって徐々に変動していくため、同じ参加者でも時間帯が変わるだけで数値が変わってしまうことがあります。

そのため、試験では各測定ポイントをすべて同じ時間帯にそろえて実施することが、全員が同条件で比較できるようにするための、非常に重要な管理プロセスです。

さらに、参加者の生活リズムや当日の行動によってもむくみは影響を受けるため、各検査ポイント間での過ごし方の統一も“正確な評価”に直結します。


ここまで時間管理を徹底することで初めて、本来の「むくみへの作用」を正しく評価することができるのです。

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まとめ:確かなエビデンスが、強い商品を作る

「一時的な脚のむくみ」試験は、多くの変動要因との戦いです。

しかし、適切なデザイン(クロスオーバー法)、信頼できる評価指標(水置換法や3Dスキャン)、そして厳格な環境管理を組み合わせることで、科学的に説得力のあるデータを取得することは十分に可能です。

これから試験を検討される企業の皆様におかれましては、

  • 「なんとなく」ではなく「厳密な」参加者選定
  • コスト安よりも「検出力」を優先した試験デザイン
  • 法規制と倫理を遵守した透明性の高い運用

この3点を軸に、パートナーとなる受託機関を選定し、プロジェクトを進めていただければと思います。

確かなエビデンスに基づいた製品は、必ずや市場で長く愛されるブランドに育つはずです。

 

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